どしゃ降りでもカッパ着て行くのだ

64歳のアルバイト生活(ブログ名変更考察中)

黄泉の国 カグツチの処刑

f:id:inroutesixties:20181218070855j:plain

カグツチの死

生まれてくるとき、その炎で母であるイザナミの女陰を焼き、死に至らしめることとなったカグツチですが、その行為や落ち度ではなく、存在が原因であるというところに、複雑な意味が感じられます。 

カグツチに罪はなかったのではないかとさえ思えます。 

イザナギの怒りはすさまじく、カグツチはイザナギによって首を刎ねられます。この時使われたのが十拳の剣(とつかのつるぎ)です。十束剣ともいいます。  

日本刀の原点、十束剣 - どしゃ降りでもカッパ着て行くのだ

イザナギは怒りに任せてカグツチの首を刎ねます。この行為によって、多くの神さまが生まれます。 

カグツチの処刑を内乱の果てと考えると、多くの神さまが生まれたということは何を意味するのでしょうか。もうひとつ、生まれ方にも何か意味があるのでしょうか? 

  • 剣の先についた血が湯津石村に飛んで生まれた神
  • 剣の元についた血が湯津石村に飛んで生まれた神
  • 剣の手上(柄)に集まり、指の間ににじむ血から生まれた神
  • 殺されたカグツチの遺体(各所あります)より生まれた神

 上記の別け方はちょっと偏っているかもしれませんが、大きく別けると、剣に付いた血より生まれた神さまと、カグツチの遺体より生まれた神さまということになります。

 

湯津石村

湯津石村についてはよく分かりませんが、勝手な解釈をすると、「湯」は湯水のごとくといいますので、多数あるみたいな意味。「津」は接続詞、「石」は石か岩。「村」は群れ。ということで、湧き出したように岩が連なる場所みたいな感じでしょうか。 

岩山のような場所で、カグツチが処刑されたのかもしれません。

 

次からは生まれた神さまについて調べてみたいと思います。

剣の先についた血が湯津石村に飛んで生まれた神

石柝(いはさく)の神 

岩をも切り裂く神ということで、刀剣の神とされているようです。 

「柝」というのは拍子木または拍子木の音のことです。「析」であれば砕くというような意味がありますが、「柝」が使われていることで、何か意味でもあるのでしょうか。 

他には雷神という説もあるようです。 「柝」だから刀剣が岩にあたる音でしょうか。

根柝(ねさく)の神 

上記の続きだと、こちらは根を切り裂くということになるのでしょうか。 

現代ならショベルカーみたいな重機のイメージですが、古代は人力または動物力(?)でしょうから、鍬とかの開墾のための道具かも知れません。 

鍬だと根を砕くというイメージはないですね。 

石筒(いはつつ)の男(お)の神 

古事記では石柝・根柝の次に生まれたと表記されているのみですが、日本書紀では違うようです。 

『古事記』の神産みの段でイザナギが十拳剣で、妻のイザナミの死因となった火神カグツチの首を斬ったとき、その剣の先についた血が岩について化生した神で、その前に石析神・根析神(磐裂神・根裂神)が化生している。『日本書紀』同段の第六の一書も同様で、ここでは磐筒男神は経津主神の祖であると記されている。『日本書紀』同段の第七の一書では、磐裂神・根裂神の子として磐筒男神・磐筒女神が生まれたとし、この両神の子が経津主神であるとしている

イワツツノオ Wikipedia 2018年11月28日6時43分

 

剣の元についた血が湯津石村に飛んで生まれた神

甕速日(みかはやひ)の神

「甕」は瓶の意味で、土器、陶器などを指すようです。土器の神さまでしょうか。

樋速日(ひはやひ)の神

樋」はとい(雨どいなどのとい)の意味です。用水路か何かの神さまなのでしょうか。ミカハヤヒと共に農耕関係の神さまと言えそうです。 

建御雷(たけみかづち)の男の神、またの名を建布都(たけふつ)の神、またの名を豊布都(とよふつ)の神 

タケミカヅチは有名な神様で、この後も何度も古事記に登場します。 

タケミカヅチ(タケミカヅチノオ)は、日本神話に登場する神。雷神、かつ剣の神とされる。相撲の元祖ともされる神である。 

『古事記』では「建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)」や「建御雷神(たけみかづちのかみ)」、『日本書紀』では「武甕槌」や「武甕雷男神」などと表記される。単に「建雷命」と書かれることもある。『古事記』では「建布都神(たけふつのかみ)」や「豊布都神(とよふつのかみ)」とも記される。 

また、鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)の主神として祀られていることから鹿島神(かしまのかみ)とも呼ばれる。鯰絵では、要石に住まう日本に地震を引き起こす大鯰を御するはずの存在として多くの例で描かれている。 

タケミカヅチ Wikipedia 2018年11月28日16時53分

 タケミカヅチもそうですが、十束剣とカグツチの血から生まれた神さまは刀剣や戦いの神さまであることが通常のように思われます。 

とすればミカハヤヒやヒハヤヒが農耕関係の神であるのは少し変な感じがします。ネサクもどちらかと言えば農耕寄りですけど。

 

剣の手上(柄)に集まり、指の間ににじむ血から生まれた神

闇淤加美(くらおかみ)の神 

「闇」は谷の意。「淤」はどろ、水の底に溜まった泥、ふさがる、詰まる、転じて洲とか中洲の意があります。 

谷の堰みたいな意味でしょうか?水の神で竜神というのが定説のようです。 

闇御津羽(くらみつは)の神 

文字からは想像できないですね。 

神名の意味で「闇」は谷間を、ミツハは罔象女神(日本書紀での名)の罔象と同意味の水の神。 

闇罔象神は峡谷の出始めの水を司る神である 

クラミツハ Wikipedia 2018年12月3日15時17分

 

殺されたカグツチの遺体より生まれた神

正鹿山津見(まさかやまつみ)の神 

カグツチの頭より成りませる神。 

「正鹿(まさか)」というのは真坂のことでしょう。鹿は人が上れないような坂を駆けていきます。 

「山津見(やまつみ)の神」は山の神を表します。鹿は人が上れないような険しい坂を駆けていきます。険しい山の神ということでしょうか。 

淤縢山津見(おどやまつみ)の神 

カグツチの胸より成りませる神。 

「淤」は泥の意。「縢」はかがるという意。かがるは裁縫の「かがり縫い」などのかがるです。 

泥のようにかがるというイメージですが、連なる山を連想してしまいます。山の連峰の神。 

奥山津見(おくやまつみ)の神 

カグツチの腹より成りませる神。 

これは字のごとく、深山の神でしょう。 

闇山津見(くらやまつみ)の神 

カグツチの陰(ほと)より成りませる神。 

闇だから、深夜の山の神なんでしょうけど、「陰(ほと)」というのは、女性器の外陰部のことを指しますが、カグツチは男神なので、男性の陰部のことだと思います。 

ほとは古い日本語で女性器の外陰部を意味する単語。御陰、陰所、女陰の字を宛てることが多い。 

現在ではほぼ死語になっているが、転じて女性器の外陰部のような形状、形質(湿地帯など)、陰になる場所の地形をさすための地名として残っている。 

ほと Wikipedia 2018年12月8日18時9分

ウィキペディアの解説を読んでみると、深夜の山の神ではなくて、昼なお暗い、山の谷間の神のイメージが湧きます。山陰の山の神といったところでしょうか。 

志藝山津見(しぎやまつみ)の神

カグツチの左の手に成りませる神。

「志藝」というのは何なのでしょう。「シギ」という鳥はいますが、水辺の鳥です。山の神であろうシギヤマツミとはかかわりがなさそうです。

「藝」には木を植えるという意味があります。

原字は「埶」で「木」+「土」+「丸」(両手を添える様)の会意文字で、直物に手を添え土に植えることを意味した。「艸」を添え、「蓺」として、植物であることを強調。「藝」は「云」を音符とし、「たがやす」に意を持った別字であったが、後に混同された。

この時代に植林という意識があったのかどうかは分かりませんが、現存する里山は人工的な自然で、まさに日本の農村文化の基盤となったものです。古代より自然をコントロールする術があったのかもしれません。

シギヤマツミは山の資源の神さま。

羽山津美(はやまつみ)の神

カグツチの右の手に成りませる神。

日本書紀では「麓山祇」と書かれているそうです。「麓」は裾野の意味ですから、「羽」も山が羽を広げたように見える裾野のイメージなのかもしれません。

ハヤマツミはなだらかな裾野の神さま。

原山津見(はらやまつみ)の神

カグツチの左の足に成りませる神。

これは裾野のもっと下の部分のようです。原っぱのことですね。しかし、山の神さまであることから、平野の原ではないと思います。山上の開けた原でしょうか。

ハラヤマツミは字のごとく山の野原の神さま。

戸山津見(とやまつみ)の神

カグツチの右の足に成りませる神。

「戸」は入り口の意味でしょう。登山口のことと思います。

トヤマツミは入山の神さま、または山道入り口の神さま。

 

カグツチを斬った刀

冒頭で「十拳の剣(とつかのつるぎ)」と書かれていますが、新たに刀の名称が書かれています。

かれ斬りたまへる刀の名は、天の尾羽張(おはばり)といひ、またの名は伊都の尾羽張といふ。

文頭の「かれ」は「故」と書きます。

「十拳の剣」は一般名称ですが、カグツチを斬った一振りの刀が神の名をもつ刀となったのでしょうか。

尾羽張は、幅広の刀の様子を表した言葉のようです。「天」は天神族のことでしょう。「伊都」は威力の意味とされています。

しかし、「伊都」の字は魏志倭人伝に出てくる伊都国を連想させます。「天」と「伊都」が同じものを指すとすれば、伊都国が天神族にかかわりのある国であったと考えられなくもありません。

また、伊の国の都ととれなくもありません。つまり、阿波の国こそ天神族の国ということです。飛躍しすぎましたでしょうか。

 以上でカグツチの処刑部分は終わりです。以降はイザナギがイザナミに逢いたくて、黄泉の国に行く物語になります。